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大阪地方裁判所 昭和59年(ワ)3760号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

三損害

<前略>

原告は、本件事故当時六八才で、原告の妻、長女、次女及びその夫、長男と共に露店商を営み、自動車も六台使用して、大阪を中心に名古屋、北陸、広島等も回り、祭礼等に三、四店ないしアルバイトを雇い一四、五店を出店して、リンゴ、ショウガ等の商品を販売していたが、昭和五七年一年間の売上高は三〇八九万五四四六円、原料仕入高は一二六三万九五〇〇円であり、また、右アルバイト人件費及び自動車維持費等の経費として少なくとも売上高の三割五分相当の一〇八一万三四〇六円(端数切り捨て、以下同じ。)を要するものであるから、右経費を控除した前記原告ら家族の労働による実収入額は七四四万二五四〇円となるが、原告は出店数及び場所割り等の決定についての同業者との交渉に当り、また、商品の仕入れを一切担当していたことから、右収入の内原告の寄与率は五割と考えられる。従つて、原告の事故前の一年間の実収入額は三七二万一二七〇円となる。

原告は、本件事故後休業しているが、前記受傷の程度、治療状況、年令等諸般の事情を考え合わせれば、昭和五八年四月二〇日から同月三〇日までは一〇〇パーセント、同年五月一日から後遺症状の固定した昭和五九年五月八日までは通じて八〇パーセントの収入の逸失が本件事故と相当因果関係のある休業損害であると認めるのが相当であり、左記算式のとおり三一六万二五六九円となる。

<中略>

四過失相殺

1 <証拠>によれば、次の事実が認められる。

本件交差点は、南北に通じる五車線、車道幅員合計14.1メートルの道路(以下「本件道路」という。)と東西に通じる幅員5.5メートルの道路とが交差するアスファルト舗装の交差点であり、車両交通はひんぱんで、信号機により交通整理が行なわれている。本件道路は最高速度が時速五〇キロメートルに指定されている。

林は、本件事故当時被告車を運転して、時速七〇キロメートルで本件道路を北進走行していたが、被告車進路の約四〇メートル前方には先行する普通貨物自動車が走行していた。林は、本件交差点の手前約六四メートルの地点で対面信号が青色表示であることを確認しており、さらに約31.7メートル進行した地点で約四三メートル前方の本件交差点北詰横断歩道付近に右折待ちで停止中の原告車を認めた。林は、対面信号が青色であつたのでそのまま約16.4メートル進行したとき、前記被告車両に先行する大型貨物自動車は原告車の横を通過したところであつたが、約23.2メートル前方の前記横断歩道の内側付近を右折し始めている被告車を認め、急制動の措置を講じたがその効果が生じ始めるまでに約19.2メートル進行して、本件交差点中央付近で原告車左側面に被告車左前部を衝突させたものである。他方、原告は、原告車を運転して本件道路を南進走行してきて、本件交差点北側約二五メートルの地点で南行中央寄り車線に入り、本件横断歩道北詰横断歩道手前で一旦停止して対面信号機の表示が青色であることを確認し、約五〇メートル前方を対向進行してくる被告車を認めた。その後大型貨物自動車が原告車の横を通過して北進する車両の通行が途切れたように思われたので右折し始めたところ、約一一メートル進行した本件交差点内で約11.5メートル南側を進行してくる被告車に気づいたが、なす術もなく衝突してしまつたものである。

<反証排斥略>

すなわち、証人林舜一の証言中には、林は被告車を運転して時速約五〇キロメートルで走行していたとする部分があるが、前掲乙第一号証の二及び証人林舜一の証言によれば、林が急制動の措置を構ママじてからも被告車は約19.2メートル進行して、制動効果が現われたときに衝突しているが、いわゆる空走時間を一秒間としても少なくとも時速69.12キロメートルであつたことになる。また、原告本人尋問の結果中には原告は、原告車を運転して、本件交差点北詰横断歩道手前で一旦停止した後対面信号青色表示に従い本件交差点内に進入し、本件交差点中央付近で再び停止して北行直進車の通行を待ち、その通行が途切れ、右信号も黄色を表示したので右折を開始したとする部分があるが、前掲甲第五号証及び原告本人尋問の結果によれば、原告は、本件事故直後の昭和五八年五月一〇日に施行された実況見分においては、本件交差点内で再び停止したとの指示は全くしていないことが認められる。

よつて、前記のとおり認定した次第である。

2 右認定事実によれば、林は、被告車を運転するに当り、制限速度を遵守のうえ、前方の右折車両の動静を注視して安全な速度で本件交差点に進入すべき注意義務があるのにこれを怠り、前方を十分注視せず、漫然と制限速度を超える時速七〇キロメートルのまま本件交差点に進入した過失があり、他方、原告は、原告車を運転するに当り、前方を十分注視して青信号に従つて対面進行してくる車両の進行を妨害しないようにすべき注意義務があるのにこれを怠り、対向進行してくる被告車の動静を注視することなく、漫然右折を開始した過失があると認められる。

3 右認定の本件事故発生についての林及び原告の各過失の態様等諸般の事情を考慮すれば、過失相殺として原告の損害の五割五分を減ずるのが相当と認められる。

従つて、原告の前記損害額七七三万〇四九〇円から五割五分を減じて原告の損害額を算出すると三四七万八七二〇円となる。 (長谷川誠)

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